新潟県退職者連合 幹事
(越後交通労組高齢者退職者の会 会長)

櫻井 勝美

 昨年3月頃から急激に感染が強まったコロナウィルス、その影響で私の勤めていたアルバイト先では、仕事がほとんど無くなってしまいました。毎日、家でぶらぶらの生活が始まり、昨年は雪が異常に少なかった冬でしたが、先祖から受け継いだ「猫のひたい」程の田畑を耕すには、いくら雪がなくてもまだ寒く時期が早すぎと思い、そこで考え付いたのは釣りでした。釣りならば、密にならず大声で話すこともなく、屋外だからコロナ感染には繋がりにくいと考えました。

 現役時代に釣りをしていたKさんを思い出し、早速TELし様子を伺ってみた、Kさんの話では、まだ冬の海の状態で季節風により波の穏やかな日が少なく、冬場は海には行っていないが、4月下旬頃になれば波の穏やかな日々が来るだろうから、その頃になれば行けるようになるとの事。

 なるほど、今まで海釣りに関しての知識は皆無だった私は、天候による海の状態に左右されると考えもしなかった浅はかな自分に反省し、この年になっても知識がまた一つ増えたと喜び、残念だけどしばらく待つことにしました。

 さて、例年のごとく4月下旬から5月上旬にかけて、一通りの農作業を終え一段落したころを見計らってKさんと連絡を取り、今の時期ならキス狙いが良いとの事で、柏崎の海岸で待ち合わせることになりました。

 前日の夜は、修学旅行に出かける子供の様なはやる気持ちを抑え、何時ものごとくしっかりと晩酌を済ませ就寝。

 さあ、当日の朝は当然早起きで現地に向かいKさんと合流、釣り道具は全部用意していただき、初心者への手ほどきを受け、記念すべき第一投でキス釣りの挑戦が始まりました。キス釣り特有のビビッとくる当たりがあり、大漁(初めての私にとっては)になりました。

 

 早速自宅に持ち帰り鼻高々に家族に報告、孫は、じいちゃん魚屋で買ってきたんだろ、と疑心暗鬼、妻は、こんなに釣れたのとびっくり。釣り師匠のKさんから、キスのさばき方、料理方法などを教えていただき、釣った人の責任で処理しないと家族から嫌がられるよと、しっかり釣り人の心得を叩き込まれ、その日の夕飯の食卓に上がりました。

 それ以来、ビビッとくる当たりに快感を覚え、しっかり釣りにハマってしまった事はいうまでもありません。その後、一通りの道具を揃え、私の居住する魚沼から柏崎まで1時間半を費やし、時期を見、天候の具合を考えながら、いそいそと出かけるようになりました。

 結論から言うと、コロナウィルスの感染拡大により、趣味(道楽かもしれない)の枠が、また一つ増えたことに感動を覚えた今日この頃でした。