新潟県退職者連合 顧問

宮島 舍人

 
(1) 昨年4月から自治会会長が自分の主な仕事になった。ここの自治会は会則によって任期は会長はじめ役員全員が2年で一斉に任期を迎え交代している。再任を妨げない、としているが慣行で一斉に退任している。そんな仕組みになってから、役員はじっと耐えて2年を過ごしている傾向が見られる。
 
私が会長にということになった時、新年度の事業計画に諮問機関である「これからの自治会を検討する委員会」の設置を当時の役員に提起した。そんなのは「新役員が1年やってみて会則の変更でも何でもやればいい」という意見が多かった。
 
当自治会総会は議題の最後に、役員改正を行ってきた。それがいつの間にか報告事項の審議が済むと新役員を選出し、新役員が事業計画を提案している。だから新役員の意向を汲んだ議案であって当然、と主張して私の意見を受け入れてもらった。
 
(2) 私と家族がこの地に移住して来てから半世紀が過ぎようとしている。この辺りは鳥取砂丘の比ではないが砂地で、先住者は苦労していた。何分にも団地造成という言葉も知らない頃で、生活排水の始末と車が通れる道が生活に欠かせない重大問題だった。
 
いわば側溝と舗装が理屈抜きで皆に共通する課題だったから、価値観の多様性どころでなかった。全戸が積立てしてU字溝の排水路と道路の舗装が実現した。
あれから夢のような歳月が過ぎてU字溝も舗装も損壊が目立ち、自治会に補修を
要望しても、私道は所有者の責任だという考えで暫く経過した。
 
総会で私を始めとした新役員が誕生し、「これからの自治会を検討する委員会」も発足した。私は委員会の答申を前に委員会座長に言った。
「どの課題も簡単に解決できるものではないから、役員の任期が済むとご破算になるのではなく解決するまで役員の代を超えて拘束する」ことを了解してもらった。
 
委員会の答申には、私道に関わる課題を含む4項目が答申され、役員会は答申を尊重することにした。私道に関わる件は私道3本で計400メートルの改修工事について新潟市の助成事業とするよう申請を済ませている。誰に断ることもなく自由に通れるこの道は皆の宝物である
 
(3) 私がゴミ出しの通り道にアパートがあって、入居者は現在独居老人4世帯でなんとなく女性優位の人たちである。先日の自主防災訓練の安否確認で4人とも入口のドアに白い布を掲げてくれた。
 
訓練の翌朝ゴミ出しでアパートの前を通ると、そこの入居者2人で井戸端会議の最中だった。私は安否確認の礼を言いながら会議に少し加わった。暫くして「こないだ中秋の名月を見たが」月の隣で大きく輝く星は何という星だ、と尋ねられた。1年も前になるが「自分にもしもの時」と言って居住者名簿を届けたのは、ここの居住者の女性だった。
 
   入居者4人は、どんな人生を巡った人たちだろう。苦難ばかりで恵まれない生涯だったかも、しかし心豊かで個人情報だと言わないこの人たちとの会話で、私はいつも癒されている。
以上