※頑迷固陋とは、考え方に柔軟さがなく、適切な判断ができないこと

 

新潟県退職者連合 幹事
今井 一夫

男女同権を訴えた新潟県人

 9月の新潟日報「日報抄」に、全国で初めて男女同権を訴える演説をした人が新潟県人という話があった。1881(明治14年)年9月18日、自由民権運動が熱気を帯びる中、柏崎市で2千人が集まった演説会後の懇親の席だ。弁士は教員の方で、1週間後新潟新聞に載った。

 最初の女性の演説から140年以上もたった。男女格差はどれぐらいすすんだろうか。

 

法の下の平等

 憲法14条には、「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。②華族その他の貴族の制度は、これを認めない。③栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴わない。栄誉の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。」と記載。いわゆる法の下の平等について規定している。

 基本的人権の尊重とあいまって、日本国憲法の理念の一つを構成するものであり、基本的人権の尊重が、各人が有する権利の本来的保障を意味するものに対し、法の下の平等は、他者との比較においても十分な権利を保障することを企図するものである。

※門地とは、家柄ないしは血統を意味するものと考えられている。

 

世界経済フォーラム報告

 今年の男女格差(ジェンダー・ギャップ)報告では、日本は146か国中、116位。中国や韓国より下位です。とりわけ政治分野は、139位と女性の地位が極めて低い状況です。

 報告では、コロナ禍が男女格差解消の動きを停滞させている指摘がある。雇用の調整弁にされやすい非正規労働者の女性割合が高く、もともと家事や育児が女性に偏りがちだった日本も例外ではない状況です。

 官民で進めてきた女性活躍は、女性の管理職や政治家を増やす取り組みを進めてきた。ただエリート層に力点が置かれ、シングルや非正規、障害を持つ女性の窮状を見えにくくしてしまったのではないか。コロナ禍ではこうした女性が浮き彫りにされ、自殺者も増えている。シングルでも生活できる賃金を、育児休業保証制度を中小民間企業に拡大し、十分なその保障額を支給するなど社会システムの改善が必要だ。

 

3割は変わり目?

 自治体退職者会は、2018年以降男女参画運動を進め、地区役員会への女性参加、県本部への女性役員枠の設置など男女参画運動をすすめてきました。

 両性が役割分担を固定化せず、「半分あげる、半分頂戴」の精神で活動すれば、活動が多彩になり倍以上のエネルギーが発揮されます。男女がともに担う運動をすすめることが正義を実現し、運動の担い手が増えることにつながります。

 この運動に尽力している人たちには、共通して「会員構成でも役員構成でも女性比率が3割を超えると、組織の空気が大きく変わる」経験をしたそうです。

 まず始まりは、女性役員の空白を埋め、できるだけ複数の女性役員でスタート。

 頑迷(がんめい)固陋(ころう)にはならないぞ!

 

 アンコンシャス・バイアスは、ご存知でしょうか。「無意識の偏見」といわれ、自分自身が気づいていないものの見方や捉え方のゆがみや隔たりをいいます。

 考える前に、無意識に瞬時に起こる知的連想プロセスのひとつで、過去の経験や知識を元に物事をすばやく処理しようとする高速思考のことです。

 これが良いほうに働くこともありますが、個人や組織に対しての「無意識の関連づけ」が否定的に働くことがあります。

 例えば、女性の採用が少なかったアメリカの交響楽団で、カーテンを閉めて演奏するブラインド採用した結果、いままでより女性の採用が増えました。

 アンコンシャス・バイアスを完全になくすことは難しいが、コントロールできるポイントがあります。

  1. 起こった出来事に、すぐに反応しないこと。
  2. 自分のモノの見方、考え方、価値観に気づくこと。
  3. 固定観念や先入観にとらわれていないか、客観的に考えること。
  4. 評価・判断を一時保留し、他の選択肢を考えること。
  5. 相手の話を良く聴き、望む成果に向けて対話すること。

です。

 女も男も一緒に活躍できる社会を!

 生涯独身で過ごす人の増加や、ジェンダーに関する意識が変化し、人々の生き方が多様化している今日、今までとは違う対応が求められてきている。

 性的少数者の権利に関する市民意識は、着実に変化している。日本では、同性婚は法的に認められないが、今年5月の共同通信の世論調査結果では、同性婚を認めるほうが良いと回答した人が、71%に上がった。

 女が・・・・、男が・・・・という時代はもう終わりなのか。私も含めて、改めて考えていきたいと強く思うこの頃です。