新潟県退職者連合 幹事(新潟交通グループOB会会長) 神林 俊晄

 

 右膝に痛みを感じる出来事が49歳に起きた。新潟空港利用促進のため東京へ、内外の航空会社を回り地下鉄青山一丁目駅に下車。階段を上り出口直前で右膝に痛みが走り立ち止まった。同僚におんぶしましょうか、と言われたが後ろ向きでゆっくり上りどうにか地上に出た。近くの喫茶店で休み何とか歩けるようになった。

 右膝の痛みは運動不足からくる初老の痛みと気づき近くの角田山,弥彦山、五頭山そして菩提寺山などの山歩きを始めた。天気の良い日、おにぎりを持っての山歩きは金を使わず足腰が鍛えられリフレッシュに最高だ。

 還暦の年、今は亡き北方文化博物館の伊藤文吉さんにお会いした。伊藤館長は私に60歳か、もっと遊びなさい、と言われた。その2年後に友人が山北に別荘を建てたのでコメ作りをやらないかと誘われた。その時、老いてからの農業も悪くないと思いコメ作りグループに参加した。

 農作業は桑川上流から引いた2キロある水路の清掃に始まり田植、草刈、草取り、刈り入れ、稲架掛け、脱穀と続く。月2~3回、低農薬のコメ作りは自然との闘いだ。新潟市から70キロ、日本百景に選ばれた笹川流れの景勝は何時観ても心が洗われる。

 もうひとつの楽しみは飲み会である。桑川小学校廃校跡、桜の下での観桜会。山菜の天ぷら、春鱒の炭火焼き。納涼会は鮑、岩牡蛎、サザエそしてイカの炭火焼きにバターや塩、醤油などを加えると旨さが倍増する。収穫祭は刺し網で獲ったった鮭のチャンチャン焼き、きのこ汁、漁師が作ったイクラ飯。岩船産コシヒカリを岩海苔で包んだおにぎりは冷めても美味しい。時には保存食としての熊の肉、フグの白子も優れもの。地酒〆張鶴、大洋盛の肴に山海の幸は豊富だ。

 地球温暖化の影響で笹川流れにもイノシシが住み始め刈り入れ前の田圃を荒らされて収穫量は前年の6割。高齢のため12年間続いたコメ作りを昨年卒業した。現在は亀田と田上の2ヶ所で仲間と野菜作りを始め新鮮の旨さを楽しんでいる。