新潟県退職者連合 幹事

(労働金庫退職者の会 会長)

中村 綾男

 なんとなく好きな木があります。そこは、その木のせいかどうかわかりませんが、非常に良い空気に包まれています。

①西蒲区の石瀬神社の樅ノ木です。参道の脇にどっしりと構えた大きな木です。幹回りは6Mもある巨木で新潟市の指定文化財にも認定されています。まっすぐに天に向かって伸びているその姿は、それはそれは美しい樅ノ木です。巨木ではありますが、非常に優しい雰囲気を醸し出している木で、見ていると心が安らぎます。神社入口の杉並木に差し込む木漏れ日もきれいで、私のお気に入りの場所のひとつです。

②阿賀町の山の中で見つけた杉の大木です。三川の将軍杉には及びませんが、なかなかの大木です。私の田舎の山には、このような大きな杉の木はなかったので、初めて見たときは、感動しました。樹齢や大きさはわかりませんが、「よくぞここまで大きくなったもんだ。」と感心しています。ただし、夏はアブの総攻撃に遭うので要注意です。そうなんです。私は大きな木が大好きです。

③マイカー通勤をしていますが、とにかく道路が混むのがイヤで、家を早めに出ます。ということは、早く着いてしまうので、駐車場に車を止めてから30~40分くらい、散歩(町歩き)をしています。白山公園ややすらぎ堤に行ったり、飲食店の玄関先のステッカーを見て、「ここはGoToイートが使えるな。」などとキョロキョロしながら歩いています。

 古町界隈はお寺が多いのは知っていましたが、実際に歩いてみるとその多さにびっくりです。あるお寺の境内で1本の桜の木を見つけました。幹も太く幹に空いた穴に蟻が巣を作っている老木です。「よくぞここまで生き続けてきたもんだ。」と感心しています。

 この老木には匂いがあります。木の幹に顔を近づけて匂いを嗅ぐと、私にしかわからない表現で恐縮ですが、私の古いスーツのような匂いがします。なんとなく生活感のある良い匂いがして落ち着きます。(私のスーツの匂いが決して良い匂いということではありません。)

 公園や他のお寺でも、イチョウや松の木の匂いを嗅いでいますが、匂いのする木はあまりありません。少し、おかしな人に見られているかもしれません。木の匂いを嗅ぐことの目的は特にありませんが、嗅ぎ始めたのは最近ですのでもうしばらく続けてみようかと思っています。何か、発見があるかもわかりません。

 さて、この原稿をどう纏めようかと考えていたのですが、本当に偶然に記憶が蘇ってきました。私が4、5歳のころに伐採されたのですが、小学校の校庭に大きな杉の木(大杉と呼んでいた)があって、かすかな記憶ですがそこで遊んだことを思い出しました。

 もしかしたら、私の巨木好きはその大杉の影響かもしれません。

以上