糸魚川地域退職者連合 事務局長

 金子 恭治

 

 平成4年「失われゆく自然環境の保護と三世代のコミュニケーションを図るため、ゲンジボタルの養殖を実施し、以って心豊かな地域づくりに寄与することを目的」に地元有志により『蛍ともしびの会』を立ち上げました。        
 当時は田んぼの消毒は空中散布方式が主流で、これが一因なのでしょうか、私たちが子供のころにどこにでも飛んでいた蛍がほとんどいなくなり、近い将来に子供や孫に見せたいという思いに駆られて行動を起こしました。
 
 まったくの素人集団ですから文献を読んだり、先進地に見学に行ったりして勉強しましたがなかなかうまくいかず四苦八苦しました。
 今は毎年6月下旬に「ほたる祭り」を開催し、大勢の見物人が来訪してくれます。子供達には無料で、かき氷・綿菓子・ポップコーン・どら焼きの作りたてを提供しています。
 ただ令和2年はコロナ禍の影響で残念ながら中止しましたが、今年は「ホタル観賞会」を極力少人数で開催するよう準備をしているところです。   
                     
 一年間の作業としては、6月下旬に蛍を採集しペアリング・産卵・孵化を家庭で行い、7月中旬に養殖小屋に移動し幼虫の養殖を翌年の3月まで行います。この間の重要な作業は水の管理と蛍の餌となるカワニナ(黒く細長い巻貝)への給餌です。水は山水を黒パイプで引水しますが、台風や大 雨の後にはパイプのごみの目詰まりがあるので時々見回ります。カワニナの餌は文献によれば雑食のようですが、私たちはスーパーマーケットでキャベツの外葉をもらって与えます。
 
 そして3月に小屋にて幼虫を選別し、大きいもので10mmくらいの幼虫を蛍観賞場所に放流し、土の中で幼虫~サナギ~羽化(成虫)を経て飛翔します。オスが先に飛び、数日後にメスが飛び立ちます。大きさはメスが一回り大きいです。
 
 寿命は他の昆虫と同様10日から2週間程度で、蛍が光を放つのはペアリングの相手を探すためで、一生懸命相手を探して成功?したらメスは産卵して命を落とします。オスは満足して死にます。
 その他6月から翌年3月の間では、小学校3年生を対象に年間3~4回産卵や孵化の状況を現物を持参して訪問し、教室で「蛍の生態と環境問題」の授業を開催します。また3月には幼虫選別作業を手伝ってもらいます。(子供は目がよいので非常に助かっています)
年に4~5回蛍小屋・取水場所及び観賞場所周辺の草刈りや環境整備を通じて、いろんな職種の大勢の仲間と汗水流して苦労してやってきました。
蛍を見に来てくれた大人や子供たちの「ワーたくさん飛んでいる、キレイ」の一言でそんな苦労も忘れて、また来年も頑張ってたくさんのホタルを飛ばそうと仲間みんなで頑張っています。
 
 ホタルおじさん頑張ってね!(影の声)