新潟県退職者連合 幹事
小谷野 いく

 ここのところ数年、猫ブームが続いている。家庭内で飼育されている頭数も犬よりも猫の数が上まわったとのこと。TVでは美猫特集や動画など毎日のように放送されているし、ネットでも簡単に見ることができる。何かと生活しづらくなっている昨今、人はペットに癒しを求めるのだろう…当の本人(本猫?)は“我々にそんなこと求められても~”と思っているのかも知れない。
 
 人は猫好き、犬好きと分かれるが私は猫派。小学校の頃、家では白黒の猫を飼っていたが、私は近所で飼われていた犬と仲良しで、よくその犬と遊んでいたことを思い出す。それなのにいつの頃からだろう好きが猫にシフト、今は大の猫派! 私も猫に癒しを求めているのかも…。本当にかわいい。猫可愛がりとは良く言ったものだと思う。 
 
 ところが、私の家は集合住宅なので動物を飼うことができない。 入居のマンション規約には動物の飼育禁止とある。以前、規約を改めペット可にしてはどうかという話もあったことはあったが、入居の際に動物飼育不可で物件を選んだ方もあるかも知れないというので却下となった。アニマルセラピーというのもあるのにとても 残念! 一緒に暮らすことができるのは金魚や鳥くらい(?) なのか、飼っていればメダカやインコでもかわいいと思うのだが一緒に過ごしたいと思うのはやっぱり猫、一緒にいたい時には側に来ず、呼んでない時にあまえに来るツンデレな猫なのだ。 
 
 それにしても、この頃は動物と暮したいと考えるとペットショップで購入するというのが普通になっている。折り込みチラシではかわいい写動で猫・犬たちが紹介され、売れずに成長したのかバーゲンセール(?) まである。以前は人から譲ってもらうか拾ってくる(保護する)というのが普通だったのに・・・と複雑な心境になる。 そう考え始めると生きている物全てそうだし、植物だって…自分も 生きるため牛や豚、植物の命を食しているではないか…とますます考えすぎに。だが最近は保護施設からの譲渡も増えているそうで少しホッとする。
 
 一昨年殺処分された猫の数は約2万頭、犬の5倍ということだ。猫は生後半年ほどで出産でき、一回の出産で4~6頭生まれるのでネズミ算的に増えるそうだ。猫が飼育放棄される理由もさまざまと思うが、放棄された最初の一頭が どんどんと増えていくのだろう。しかし これも最近は保護施設や 引きとってくれる里親が増え、殺処分数は年々減っているそうだ。 昨年、地域猫の面倒をみている人の活動をTVで見た。その地域ではのら猫(地域猫)が何頭もいて、捕獲し去勢・避妊の手術を行ない再びもとにもどす、麻酔をするので猫に負担はあまりないそうだ。近所に迷惑をかけることのないようにエサ皿 もその度洗い、トイレも自宅の庭に設置し、きちんと処理をする。 猫好きの何世帯かで協力して行なっているという話だった。 
 
 その方は最後に、地域猫は家庭で飼われている猫とちがい5~6年位しか生きられない動物を飼うのなら、その子が命を全うするまで大切に一緒に暮らして欲しい、これ以上不幸な猫たちを増やすことのないように…と語り、思わずその言葉が胸にしみた。
 
 そう語る脇でまったりとしている猫たちの映像を見ながら、もしかして猫の方が人間より悟りを開いているのかも・・・と思えてくる。何にもこだわらず無のまま生きている。猫はいいよね~うらやましいなあ…と。 当の猫たちは、“イヤ、そんなことはニャイ、なかなか大変ニャのだ”と言っているのかも。 
 
 人間社会では戦争が絶えず、環境破壊、私利私欲が横行している。もしかしてコロナの流行や温暖化などの自然環境の変化も人間の営みだけでなく、地球からのSOS、地球が人類に警告を発しているのかもしれない、とも思えてくる。猫も“人間達しっかりしろよ”と思っているのかも知れない。私もボーッと生きているこの頃に活を入れ、また、もし我家で、猫と一緒に暮らすことができるようになったら、老猫に悟りを教えてもらい、癒されながら過ごしたいと思う今日この頃です。