新潟県退職者連合 幹事
小谷野 いく
先日、ひと月ぶり位に新幹線に乗った。最近はコロナ禍で新潟に足を運ぶ事も少なくなっていたため久しぶりだ。
ホームでぼ~っと新潟行を待っていると、向かいのホームに“Maxとき東京行きが参ります” とのアナウンスが聞こえた。以前はほとんどMaxときの事もあったが、今ではMaxときは一日に数本しか運行されていない、今秋10月にはラストランを迎えるとのことだ。そんな事を考えていると直ぐMaxとき東京行がホームにすべりこんできた。車両をしみじみと見つめる…青いストライプとうすいピンクの羽ばたくときがペイントされている、思わずスマホカメラのシャッターを何度もきっていた。東京へと向かうMaxときがホームから走り去るうしろ姿を見送りながら、何となくセンチメンタルな気分になる。
後日、調べて分かった事だが、MaxときのMaxはMulti・Amenity・Expressという意味だそうだ。なるほど! 超早く走るからとか大勢の人が乗車できるからMax?などとテキトーに思っていたのは私だけか…。始めてMaxときが導入されたのは1994年(平成6年)とのこと。以外に最近のようにも感じる。
Maxときが始めて走った頃からの事が、自分の過ごしてきた日々の場面とかさなりあってなつかしく思い出される。年のせいか、昔を振り返る事が多いようなそうでないような…。
長岡から新潟に通勤していた約8年間、毎日々新幹線に乗った。朝、あわてて新幹線ホームに息をきらせ駆け上がる。 通勤電車のせいかいつもほとんど同じ顔触れ、同じ時間・同じ車両・同じような位置の座席にすわる。声こそかけないが、いつものメンバーにどこにお勤めの人かなぁ…と想像をたくましくする。 席を確保すると、やおら朝食の人・新聞をひらく人・ひたすらスマホをのぞき込む人。私は、朝はだいたい新潟まで20分の朝寝を楽しんでいたことが多かった。新潟は終点なので心配もない。 人間ウオッチングも結構楽しかった(スミマセン!) そしてたまにいつも乗る人の姿を見かけない事があると、何か気になり、もしかして病気?転勤?はたまた退職…?などと妄想心。もしかして私が退職し、新幹線に乗らなくなった時も誰かそう思ってくれていたかもしれない…。
そして、新潟の四季の美しさをしみじみと感じさせてくれたのも、車窓からの風景だった。
春は、日いちにちと大地が若草色に染まり、沿線には桜が咲き始める。どこにどんな桜が見えるか覚えてしまっている、ポツンと一本の大きな幹の桜、桜並木になっている場所、Maxときの二階席は眺望がよく、広くみわたす事ができ、ずいぶん楽しませてくれた。夕日に浮かび上がる弥彦山のシルエットや、田植えが終わったばかりの水田に映る夕日、残雪が残る山々の瑞々しさ等々、大地のパノラマだ。
夏、木々の若草色は緑に変わり、風に波打つ稲穂が涼しさを感じさせる。秋は山から徐々に紅葉が降りてくる(残念ながら新潟‐長岡間は燃えるような紅葉は望めなかったが…)これから訪れる冬の厳しさに気持ちも何となく沈みがちだ…。
冬、いよいよ白いものが降りてくる。いつも、冬になると通勤が切なくなるのだったが、雪の降った翌日、晴天の抜けるような青空に映える新雪の白…もなかなかのもの! 三条あたりで雪はほぼなくなってしまうのですけれどね。
車窓からの風景は、うれしい時は気持ちをゆたかにわきたたせ、思うようにならず気持ちが落ち込んでいた時は心を癒してくれました。
四季それぞれの美しさを感じ、そのめぐみを頂きながら、自然は美しいだけではなく、厳しい一面もある。地球に自然に人が行ってきた事がそのまま帰ってくる。温暖化による気候変動、水害、地震。私たちの暮らしや自然を守って行くため、私たち一人ひとりが、何ができるかを考え、小さな事からでもできる事をやろう! と思う。
本当にたくさんの、片道20分の通勤の思い出、時には仲間と一杯飲んだり、寝ていて乗り過ごしたり、慌てて早く降りたり(燕三条で)、車内に置き忘れなくした物も色々ありました。Maxときのラストランと重なって人生の1ページを想い起こさてくれました。ラストランは10月です、それまでに眺めがよく、リクライニングしない、あの二階の3-3シート席にもう一度乗り、まったりとしたい、あわよくば社内販売もあっていただきたい、でもコロナ禍の今、社内販売は絶対無理だよなぁ…などと思う今日この頃です。
蛇足ですが…、 今春、新幹線の割引切符が廃止され悲しい思いです。今はコロナのせいもありますが、乗車数が少なくガラガラの車両を走らせておくより、たとえ割引運賃でも乗る人があった方が良いのでは? 収入の事だけではないのかもしれませんが…。JRさま、魚沼方面や長岡から新潟まで行くには、新幹線は便利です。縦に長~い新潟県だもの。Sキップの頃がなつかしい!!