新潟県退職者連合 会長
早川 武男
菅首相の支持率が驚くほど高い。
安倍前首相のようなお坊ちゃまとは違い、秋田から上京し働きながら大学を卒業した苦労人とのイメージや、「大手携帯電話会社は公共の電波を利用しながら20%もの利益をあげている」とし、料金引き下げにハッパをかける姿が、実質賃金が下がり続け、年金は年々目減りする生活者からみたら頼もしく映るのであろう。
私の酒飲み友達のほとんどは、電電・NTTで禄を食んだ間柄だ。キャリアのような出世をしなかったが、むかしの名前でいえば電話局で、局長、部長と組合員の間で苦労した元管理職も何人かいる。この友達の多くはガラケー利用者だ。家にパソコンがありインターネットはできる、外では通話とメールが使えれば十分だという。もちろん年金受給者にスマホ料金は高いからでもあろう。
かく言う私も昨年春まではガラケーだ。パソコンがあり、WiFi環境を整え居間ではタブレットも利用していたので、そう不自由ではなかったが、スマホに変えた。フリーアナウンサーの伊勢みずほさんに、ガラケーは〝みばわるいて〟と言われたからではない。女房のガラケーが故障し、修理のためドコモショップを訪れたからだった。
ドコモショップは苦手だった。なにせ長時間待たされるし、説明内容も何が何だか良く分からないからだ。いまは予約制になっておりあまり待つことはないが、相変わらず説明内容は理解しづらい。若手社員の話し言葉(イントネーション)も聞きとりにくい。ただ、ガラケー端末が以外に高く、一方、低廉なスマホのメニューが用意されていた。便利であることは間違いないので、5GB(ギガバイト)を家族3人でシェアするスマホを契約した。
あるテレビで、大阪風のオバチャンが「毎月2万円もとられている」と仰っていたが、
料金は、契約から1年が経過したことから、1年割サービスのようなものはなくなったものの、主契約者の私が毎月6千円くらい、家族も2人で3千円強だ。そもそも我が家では、5GBは容量が多すぎることも判った。
菅首相が官房長官時代に「いまより4割程度は下げられる」と、品質レベルの話を省き大手3社の利益率について口を極めて非難していた。最近、「10%程度の引き下げでは駄目だ」との武田総務大臣発言もあるが、私は、この1~2年で随分と値下がりしたような気がする。経済ジャーナリストで、通信業界の事情に大変詳しい町田徹さんが(元日本経済新聞社経済部キャップ)、「すでに4割ほどは下がっているが、向後1年~2年で猛烈に下がるだろう」と言われていた。
摩訶不思議なのは、そのことを政府が知らないはずはない。だから、菅首相や武田大臣の発言は「俺のウデで下げた」と、手柄にするためではないかと勘繰ってしまう。
大手3社も、現状の料金設定や移動体通信事業の将来課題等について、利用者への積極的な情報提供が必要である。法外な利益をむさぼっているかのように言われているのに、希代の経営者と評され雄弁家のソフトバンクG孫会長までが、唯々諾々としているのも魔訶不思議だ。