新潟県退職者連合

(三菱ガス化学労組高齢者協議会)

中村 眞紀男

 いよいよ参議院選挙が始まった。中盤を迎える中で世論も変わってきている。物価高騰への無策、大軍拡と改憲ありきの与党に対し不安と不満が急拡大しているようである。
 
 共同通信社の世論調査では物価高に対する岸田首相の対応について「十分だと思わない」が79.8%に達している。防衛費は「今のままでよい」が36.3%で最多となり、GDPの「2%までの範囲で増額する」は3.1ポイント減って34.1%になっている。
 
 自民党は歴代政権が防衛戦略の基本としてきた「専守防衛」を事実上放棄し「敵基地攻撃能力」を保有すること、「GDP2%以上」の軍事費増額を主張しており、その最大の口実はロシアによるウクライナ侵略である。
 
 世の人々の多くは現在の防衛力に不安を感じている。その大半はロシアのウクライナ侵略を受け、「日本も中国や北朝鮮から攻撃されるかもしれない」という不安だろう。しかし、世界の安全保障の専門家は「中国や北朝鮮がいきなり日本だけを攻撃することは考えにくい」と考えている。<元陸上自衛隊東北方面総監(陸将)松村五郎氏>(朝日ディジタル6/24付)氏いわく、「中国が台湾に進行する際、沖縄にある在日米軍基地を攻撃する可能性は有る。北朝鮮も半島有事の際、在日米軍基地を攻撃するかもしれない」又、自民党が保有を公約している「敵基地攻撃能力」に関し「日本が中国を攻撃できる能力を持った場合、中国は台湾有事で日本が反撃能力を使う前提で対応する」と言っている。台湾有事で洋上の米艦艇が攻撃される事態で日本が集団的自衛権を行使してミサイル基地に反撃を加えるならばそれは中国本土への攻撃であり本格的な戦争を呼び込むことになってしまう。
 
 日本が攻撃を受けていない中で米軍が海外で戦争を始めれば集団的自衛権の行使を認めた安保法制を発動し自衛隊が米軍と一体となって相手の国を「敵基地攻撃能力」で攻撃する。そうなれば相手は大規模な報復に出て日本は戦火に包まれる。ここにこそ日本の平和と安全が根こそぎひっくり返される現実的な危険が生まれてくる。
 
 そうさせないためには戦争が始まる前にそれを止めることであり力による対決に陥る軍事力や軍事同盟の強化ではなく、関係地域のすべての国を包み込んだ平和の枠組みを作ることが大切と考える。
 
「力対力」では戦争への道となる。徹底した「外交努力」こそ政治の最大の行うべきことである。これ以上の改憲勢力の増加を許してはならない。