新潟県退職者連合 幹事
(新潟県退職教職員連絡協議会 会長)

 大坂 和夫

 国内での新型コロナ感染症が確認されてから早1年以上経った。この間2回の緊急事態宣言が発令され、現在も2回目の宣言が継続中で県内においても独自警報が発令されている。
 
 この1年多くの国民が感染予防対策としての三密を避けるため、不要不急の外出や外食等を自粛している。それぞれその過ごし方はいろいろあると思うが、私のステイホームではテレビ視聴や過去に買い集めたCD、DVD等の視聴しながら断捨離を行った。感染者数の拡大が顕著になった12月は、例年ならあれこれと名を付けた忘年会が結構あったが今年は皆無であった。
 
 ある日、いつもながらテレビをつけながらダラダラとすごしていた。テレビから聞き慣れた音楽と共に2019年アフガニスタンで長年灌漑用水路の建設等で支援活動を行ってきた「中村哲医師」が現地で銃弾に倒れてから1年経った追悼ドキュメンタリー番組が放映されていた。そのBGMとして流れていたのが標題のさだまさしさんの「ひと粒の麦」である。
 
 中村哲医師の業績は、凶弾に倒れた当時大きなニュースとして報道されていたので概要は分かっていた。しかもこの曲の創作経緯について深夜テレビ番組の「生さだ」でさだまさしさん本人が語っていた。しかし、新潟県との関わりについては初めて知ると同時にあらためて、中村哲医師の偉大さと平和の大切さを考えさせられた。また、この年末・年始にはNHKも中村哲医師を特集する番組を放映していたのでこれも視聴した。見るたびにその思いは大きく感動させられた。
 
 新退教は、戦争という多くの犠牲を二度と繰り返さないとの決意で結成された新退教の「教え子を再び戦場に送らない」というスローガンに代表されるような平和を希求した運動を支持し、現退一致の活動を行っている。日本学術会議の任命拒否に見られるようなコロナ禍での菅政権の右傾化が心配だ。ひと粒の麦の歌詞「武器で平和を買う ことはできない」の一節ではないが、武器で新型コロナなどの感染症に勝つ(克つ)ことはできない。
 
 基礎研究や人材育成に多くの予算を投じるべきである。今国会では、新年度予算審議が行われている。注視していきたいものだ。
 
 コロナ感染症が早く終息し、当たり前にできる生活と共に早く飲み会の自粛が解除されることを祈っている。行きつけのスナックも半年近くはいっていないし、カラオケもしかりだ。その暁には、「ひと粒の麦~Momennt~」を唄ってみたい。