県退職者連合は、7月30日新潟ガレッソホールで第27回年次大会を開催し、向こう1年間の運動方針を確認しました。参加者は代議員・幹事を含め90名でした。(来賓除く)
 年金・介護・医療など社会保障制度の充実に向けた取り組みを強化していくこと、また、労福協に結集する団体等と連携した取り組みも進めることとしました。

 早川会長のあいさつ文は後段に掲載します。
                                   
 大会冒頭にあたり、今参議院議員選挙を闘われた、選対本部長の「西村衆議院議員」と「うち越さくら参議院議員」からそれぞれお礼のあいさつを受けました。

 進行役の山田副会長の開会挨拶を受け、大会議長に「NTT労組退職者の会」の阿部正氏を選出し、議事を進めました。

 2018年度活動報告、2018年度決算報告・監査報告が確認された後、

 第1号議案、活動方針として、①組織拡大・地域協議会の活性化②社会保障制度の充実③ろうきんシニア倶楽部との連携強化④全労済・コープクルコ等との連携強化⑤労福協運動との連携⑥情報格差の克服と伝達強化⑦男女共同参画など提案され、それぞれ採択されました。

 第2号議案では、2019年度予算案が可決されました。

 第3号議案では、規約改正について提案され可決されました。課題であった女性役員の選出について女性幹事特別枠ができました。

 今年は人事の年ではありませんでしたが、幹事1名・監査委員1名の交代があり紹介され新任者からあいさつを受けました。(役員体制は後段に掲載)

◆幹 事  総合生協退職者会  阿部輝雄さんから伊藤修さんへ

5月31日付

◆会計監査 労働金庫退職者の会 本間晃さんから中村昇さんへ

7月18日付 以上

 審議終了後、早川会長の「団結ガンバロウ」で第27回年次大会を閉会しました。

質疑

  • 自治体への申し入れを淡々と実施しているが、何を求めているのかわかりません。退職者連合はどうしたいのか?構想はあるのか?

【回答】全国会議の中で質問をしていき退職者連合の方針などを確認したい。

  • 政府の年金2,000万円発言をどうとらえるのか?

【回答】それぞれの生活環境が違うので何とも言えないが、極端に少ない層の人たちがいると思うので、その人たちの底上げが必要と考える。

  • 自治体への申し入れの文はあるがそれぞれの自治体の回答がないが?

【回答】地域連合の皆さんには各地域での取り組みの結果を渡しており、自分たちの自治体と比較をしてもらっていますが、幹事会には県の報告しかしていませんでした。報告の仕方を改めたいと思います。

新潟県退職者連合第27回年次大会(2019.7.30) 会長あいさつ

 構成員の皆さん、暑い中、本大会にお集まりいただき感謝申し上げます。
 また、大変ご多用中にも関わりませず、牧野連合新潟会長、齋藤新潟県労働金庫理事長、小野塚全労済新潟推進本部長から来賓としてご臨席を賜りました。
構成員を代表し心からお礼申し上げます。
 さて、本年次大会は昨年の基軸年大会(定期大会)で決定した2年間を展望した方針に関し、1年間の活動を総括するとともに必要な方針を補足・補強する議決機関でございます。このような大会の位置づけもふまえ、情勢や議論のポイントなどを申し上げご挨拶とさせていただきます。

 巷間、フェイクニュースなどジャンクな情報が氾濫。「反日」「左翼」などといった匿名による陰湿な少数者・弱者叩きも横行し、日本も所得格差の拡大とともに社会の分断が進んでいます。
 政治の世界も長期にわたる一強政権の下、官僚機構や主要メディアの政権に対する忖度がはびこり、巨大与党も異論なき一色に染めあげられ政権の下請け機関化、安倍首相が誇る看板政策も多くは綻び或いは座礁しています。「アベノミクス」は円安と株価の上昇で潤った方も多いのですが、異次元緩和により増えた超特大の債務は誰がどのように返済するのか。「拉致問題の解決は安倍内閣の最重要課題」は常にトランプ大統領頼み。金委員長と会うことさえ術がない有様です。「北方領土問題は必ず終止符を打つ」との意気込みも逆にロシアに足元をみられ経済協力に利用されたのみで、むしろ後退。「非正規という言葉を一掃する」も6年間で300万人増え2152万人に。働き手に占める割合は38%を超え75%は年収200万円未満におかれています。看過できないのは、2千万円が必要かどうかはともかく、年金だけでは老後の生活費は不足するとの金融庁報告を、参院選に不利に働くことから受け取らないという態度です。

 にもかかわらず安倍政権は勝利を掌中にしました。参院選の結果に関しては、後日、幹事会等で意見交換しますが、小熊英二慶大教授はかねて「日本人は(広義の)リベラルが2割、保守が3割、棄権を含む無党派が5割に固定化されている」と主張されていました。官邸筋も同様の分析をしていますが、2010年代の7回の国政選挙の得票数を照合するとほぼ合致します。さらに教授は「リベラルが勝利するには、投票率を高め、リベラル層の支持を維持しつつ無党派層を積み増す以外に途はない」と述べておられますが、示唆に富んだ見解と思います。申し上げるまでもなく、政権批判は野党の大事な任務ですが、批判するのみでは民意は得られず選択肢になれません。街の声や世論調査などでも、政権の政策や姿勢に批判的な方でさえ野党への投票を逡巡する態を目にします。やはりリベラル野党は
 1.小さな違いの強調を卒業し一つにまとまる努力をすること
 2.今の政権と何が違うのか、めざす社会像と実現にむけた(なるほどと思う)具体的政策を鮮明にすること
――が大事であり、もう一つの選択肢を示すべきではないでしょうか。
近年、労働組合においても、若年層のみならず中年層でも自民党支持が増え、野党支持は大きく減少しています。それだけに野党第一党の立憲民主党からは、大所高所の観点にたってリベラル野党の総結集にご尽力願い、リベラル政党に対する有権者の期待感を創りだしていただきたいのです。言わずもがなのことですが、一人でも多くの賛同者を増やすことこそ政治であり政権への道であると、私は考えます。
 それにしましても、退職者連合も推薦しました「うち越さくら」さんは、知名度不足を見事にはねのけ当選の栄誉を勝ち取ることができました。加入組織と地域退職者連合のご尽力に心から感謝申し上げます。本会の財政力や各役員は企業退職後の活動であることから、自ずと限りはありますが、これからも加入組織の事情にも十分配意をしつつ、連合新潟と連携し対応したいと存じます。

 「ろうきんシニア倶楽部」の会員拡大にむけ、また全労済共済の加入促進に大変なご尽力をいただきました。この活動は労働者福祉運動の充実といった側面も有し、他の地方退職者連合では例がありません。
ろうきんシニア倶楽部の取り組みは
1.より充実したシニアライフを送るため、①会員の生活向上および相互の親睦を図る、②会員の福祉活動や文化教養に資する活動、を主要な柱に掲げるシニア倶楽部の方針は、退職者連合の規約と合致すること
2.行政指導など労働金庫を取り巻く環境を勘案すると事業推進への協力が不可欠であること
――から昨年より力を注いでいますが、労働金庫役職員の方々の熱意と加入組織の皆さんのご尽力が融合し順調に推移しています。ただ、草創期特有の制度に関わる認識違いなどもありますのでコミュニケーションを強めるとともに、さらなる連携強化のため、シニア倶楽部支部役員に地域退職者連合役員も関わることについて、今後、幹事会等で検討してまいります。
 全労済は新たな発展をめざし、6月に愛称を「こくみん共済coop」としましたが
1.市場の保険商品の中では群を抜く低廉で安心なマイカー共済やすまいる共済を退職後は利用できないとの誤解や、住宅のように人生で一番高価な買い物が無保障状態に置かれている恐れもあること
2.労働金庫様同様、助成をめぐる環境を勘案すると事業推進への協力は不可欠であること
――から、「マイカー共済(自賠責を含む)」「すまいる共済」に重点をおき取り組みを開始しましたが、長年にわたる本会に対する心暖かなご支援に応えるため力を入れてまいりたいと存じます。何卒、お力添えをお願いする次第です。

 今秋から来夏にかけて、私たち退職者・高齢者にとり厄介な問題がクローズアップされます。先ず、年金では「年金財政は44兆円も増え信頼性はより強固になった」(参議院決算委員会における安倍首相答弁)とは裏腹に、デフレ下でもマクロ経済スライドをフル適用させ一層の抑制をはかることや財源調達問題。医療では75歳以上の医療費定率負担の2割化や金融資産を算定基礎とした患者負担。介護では利用料の2割化と要介護1、2の生活援助業務を介護保険から切り離し地域支援事業へ移行させることなどが想定されます。
 ご承知のとおり、1961年に国民皆保険・皆年金が実施されてから、日本人の平均寿命は飛躍的に伸び、また2000年に介護保険制度がスタートしてから介護の社会化が進み、被介護者の権利保障と家族の負担軽減に大きな役割を果たしてきました。
 この諸制度を、より充実発展させることが国の使命と思います。しかし、年金、医療、介護制度は年々先細りしています。この分野の人手不足も深刻です。
 マスコミや多くの識者の方々から、高齢化に伴う社会保障費の急増と、国債や借入金などを合計した「国の借金」がGDPの2倍を超えていることから、抑制はやむを得ないとの意見もだされますが、果たしてそうでしょうか。

 日本退職者連合は「少子・高齢化が社会保障財政を圧迫していることは事実であるが、それは長年にわたる国の政策運営の積み重ねの結果である。社会保障制度を安定的に維持するには、何をおいても良質な雇用が重要であることは衆目の一致するところであるが、被用者保険にも入れない安上がりな非正規雇用労働者を増やし続けてきた。そのことが少子・高齢化社会に導いた最大の要因である」と分析しています。その上で、将来世代にもしっかりとした社会保障制度を引き継いでいくため、増税分を全て社会保障制度の財源確保にあてるなら、消費増税に反対する理由はないとの態度を示していました。なるほど
1.社会保障問題とは財源調達問題に帰結すること
2.生産年齢人口が加速度的に減少している一方、高齢者人口が増え続けていること
3.現役世代による高齢者支援も限界にきていること
――などを考えると態度は理解できます。むろん10月の消費増税は、軽減税率の導入や3党合意の総合合算制度(医療・介護・障害・保育の自己負担の総額に上限を設け超えた分を国が補助する制度)の取り止めなど問題が多いことから、先の定期総会では3党合意の基本に立ちかえって再検討すべきと決定しました。私も、日本は未だデフレから脱しておらず、米中経済戦争や英国のEU離脱など世界経済の先行きに暗雲が立ち込めるタイミングでの消費増税は、深刻な消費不況を招く恐れがあることから延期すべきと思います。さは然りながら、野党を罵り野党の質問をはぐらかす安倍首相のもとでは、真摯な議論は難しいかも知れませんが、財政破綻を防ぎ社会保障を持続可能にするため政治は英知を結集すべきです。将来世代に対する今を生きるものの責任であり、一部で囁かれる徳政令のようなものを現実にしてはなりません。
 
 なお、介護分野などにおける人手不足に関連し、外国人労働者の受入れについて意見がございます。すでに県内でも技能実習生や留学生など多くの方が就労され、佐渡地域においては介護に数名の技能実習生がおられます。人口減少と少子高齢化が加速度的に進む県内の状況を勘案すると、特定技能労働者の受入れも選択肢となりますが、先ずは、国内労働者の労働条件の改善を求めていくことがベターかと考えます。

 政権による演出が奏功したのか、元号が平成から令和に変わっただけで、あたかも、より平和で成長する時代になるかのような雰囲気が国全体に漂っていますが、小林喜光経済同友会前代表幹事が朝日新聞紙上で「平成の30年間、日本は敗北の時代だった」、「今さえ良ければ、自分さえ良ければ、という本音の中で国民も政治家も生きてきた」とこれまでを分析。「日本は進取の気性を培わないと挫折したまま滅んでしまう」と警鐘を鳴らし、アベノミクスに手をさしのべた財界の責任も「非常に問われている」と言及されていました。さすが(平成の)財界の鞍馬天狗らしい的を射たご指摘と感じた次第です。
思いおこすと、平成の30年間に世界経済は激変し中国のGDPは今や日本の3倍。平成元年(1989年)の日本の1人当たりGDPは世界第4位、それが平成30年(2018年)には26位に落ちています。お家芸だった製造業の多くも産業構造の転換に躓き発展途上国に追い上げられ、次世代の5G技術でも米中に遠く及びません。
 政権が、いくら当面を糊塗し成長するかのように演出しても「日本の進路」はいばらの道と判断されます。退職者・高齢者の環境も、現役世代が物凄い勢いで減少していくにも関わらず、医療費と介護費が跳ね上がる75歳以上の人口は、今後30年は増え続けます。その上、アベノミクスにより膨れ上がった超特大の債務が伸し掛かります。必然、年度財政を圧迫し税と社会保険料負担はますます重くなるでしょう。
 数年来の政策運営による大変なとばっちりを受けるのですが、日々に新たに、また日に新たなり。「進取の気性」をモットーに、四囲の動向に目を凝らしながら会の目的達成にむけ皆さんとともに努力してまいりたいと思います。
 いささか長くなりました。ご清聴ありがとうございました。

2019年度役員体制

 役   職 氏   名 所    属
 会   長 早 川  武 男 (NTT労組退職者の会)
副 会 長 山 田  太 郎 (JP労組退職者の会)
副 会 長 諸 橋  孝 雄 (新潟交通グループOB会)
事務局長 齋 藤  由 宣 (自治体退職者会新潟県本部)
事務局次長 筒 井  泰 樹 (連合新潟)
 幹   事 今 井  一 夫 (自治体退職者会新潟県本部)
幹   事 木 村  道 夫 (NTT労組退職者の会)
幹   事 大 坂  和 夫 (新潟県退職教職員連絡協議会)
幹   事 渡 辺  五四六 (JP労組退職者の会)
幹   事 木 村  昭 雄 (新潟県高等学校退職者の会)
幹   事 神 林  俊 晄 (新潟交通グループOB会)
幹   事 眞 田    守 (基幹労連新潟県本部退職者の会)
幹   事 小日山  紀 郎 (全港湾退職者の会)
幹   事 小 栁  保 男 (農林水産省退職者の会)
幹   事 山 田    修 (JAM新潟シニアクラブ)
幹   事 山 崎  次 男 (JR総連OB会)
幹   事 安 念    諫 (UAゼンセン友の会)
幹   事 渋 谷  昭 彦 (日通新潟退職者の会)
幹   事 八 幡  輝 男 (三菱ガス化学労組高齢者協議会)
幹   事 加賀美  和 美 (林退会新潟県協議会)
幹   事 桜 井  勝 美 (越後交通労組高齢者・退職者の会)
幹   事 皆 藤    充 (労働金庫退職者の会)
幹   事 内 田  義 昭 (日曹二本木労組退職者の会)
幹   事 伊 藤    修 (総合生協退職者会)
幹   事 林    光 弘 (連合新潟役職員OBの会)
会計監査 西 村  幸 子 (UAゼンセン友の会)
会計監査 中 村    昇 (労働金庫退職者の会)
     
顧   問 宮 島  舍 人 (前会長・JP労組退職者の会)

以上