新潟県退職者連合会長 早川 武男

 消費税は「社会保障と税の一体改革」を大義に、2014年に5%から8%に、2019年に8%から10%に引き上げられましたが、退職者・高齢者にとり極めて重要な年金、医療、介護制度は、高齢者の増加、厳しい国の財政事情、現役世代の負担軽減などを理由に、負担増と給付の切り下げが続いています。

 「医療費の窓口負担2割化」についても、高齢者は現役世代の4倍も病気に罹りやすいことから、退職者連合は中央・地方が一体となり、関係省庁などに対し取り止めるよう働きかけてきました。しかし、高齢者の実情を顧みない菅首相の強い指示により、政府は2022年度後半から実施することを決めています。

 そもそも税率引き上げのさいは社会保障の充実を謳い、消費税法も、制度として確立された年金、医療、介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるとしていますが、安倍政権時代に打ち出された「全世代型社会保障」以降の使途は、①これまでの公費負担分の消費税による置き換え、②財政再建(赤字の穴埋め)③子育て(幼児教育費・保育の無償化等)、④法人税減税と公共事業への投資(成長資金の確保)などであり、高齢者の社会保障の充実には使用されていないのです。巷間、消費税による税収は法人税と所得税減税に使われているとの声もありますが、税収額の推移をみますと的を射ていると思われます。

 羊頭を懸けて狗肉を売るような今の政治に唯々諾々としてはおれません。社会保障制度の充実にウエイトをおく政治に、流れを変える以外に抜本的な改善方法はないようです。10月までにその機会が訪れます。退職者・高齢者にとり絶好のチャンスと捉えチャレンジしたいと思います。

 新たな2021年。所信の一端を申し上げ新年のごあいさつとします。