近況のひとつ

宮島 舍人(顧問)

 通称西新潟の西小針と呼ばれるところに転居してきたのは、昭和46年の暮れだから今年で47年になる。この地域は新潟地震の後急速に発展した住宅地域だが、宅地造成されて売り出されたところではなく、なかば勝手に売買した土地に家を建て生活を営んでいた。

 やがて小針や寺尾方面はインテリらしい人も大勢住むようになり、一時は高級住宅地域と評されもした。

 高成長を背景にして宅地化が進んだJRの越後線から海岸寄り辺りの開発が比較的早く、開発から半世紀が過ぎていまは住宅地域としては成熟化して、地域全体が多くの課題に遭遇している。道路事情が悪く、少子高齢化に要因があることだが空家が目立ち、子供が激減し朝夕はデーサービスの車が往き来し、産婦人科に代わって動物病院が目立つようになった。

 そんな中で私が最大の課題だと思っているのは、地域の力が減退したように思っている。一例だが私が住んでいるところの自治会は約200世帯の自治会だが、役員を引き受ける人がいないことから順番制になった。順番で選出された10人の役員の互選で会長や会計を決めている。

 最近の傾向は年代を問わず男性が自治会に関わろうとしない状況が顕著となり、極端な例では順番で10人の中の一人として出てきた高齢の女性が「私は年寄りで何もできません」と言われたら困ってしまう。かくして女性が多数の中で「会長は男の人から」という声が多数となって会長が決められる。私は男女の力量を問うのではないが、大方の人は65歳くらいで勤めをリタイアして年金生活に入り、自分の判断で使える時間に余裕が出てくる。

 それに現役で働いている人と女性の力を結集して、これまでの人生と勤めで得たスキルの一部を寄せ合ったなら、それは皆の英知であり自治会の活力源になると思っている。
思えば、生まれも育ちも勤めや業種、生きてきた世界が違い、育まれた価値観も違う人間の最大公約数を模索して地域の力を見い出そうとするなどということは、大それたことで空しい結末だけが待っているのかも知れない。

  1. 私は近所の数人で歓談する機会を設けることができるようになってきた。今年で3年になる。
  2. 昨年7月から、冬季間は見合わせているが土日も休まないラジオ体操をしている。雨の日は屋根のあるガレージを借りている。3人で始めたのが今は9人になった。
  3. 来年は私が自治会の役員に決まった。

 これらのささやかな行為が流れを作ることができるかも知れない。

 結果は空しい最期を迎えることになるかも知れないが、こだわりというか目標のある日々を送りたいと願っている。

以 上