新潟県退職者連合 顧問

早川 武男

 6月21日、県労福協の定時総会が開催された。議案審議終了後、ジャーナリストの青木理さんを講師に講演会(ご本人の要望でパネルディスカッション的な方法で実施)が行われたが、私は労福協事務局の格別なご配慮で傍聴の機会を得た。

 青木さんはTBSのサンデーモーニングにまとめ役としてレギュラー出演されているが、ときおり発言がSNSで炎上する。以前、安倍政権時代に青木さんと同じような役割を毎日新聞の岸井成格さんが担われていた。私の目からみたら保守の人で「反日」などではない。ジャーナリストとして権力をチエックしているだけのことだが、正鵠を射た指摘が気に入らないのか、はたまた後ろめたいところがあるのか、産経新聞や読売新聞は意見広告を含め執拗なバッシングを繰り返していた。青木さんにも同じことが起きないか心配している――産経新聞は全国紙の中では一番給料が安いからか人材難?で極端に右に偏った主張が多い。読売新聞も時おり政権の機関紙か同人誌のようなふるまいをする。社の特徴を明確にするのは読者にとり良いことだが、私は「新聞は社会の木鐸」と言うのをやめた――。

 講演会では最初に青木さんから、6月21日に閉じた211国会で成立した防衛財源法や原発活用を掲げるGX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法、改正入管難民法、LGBT理解増進法などについて問題点の指摘があり、その後、質問時間に移った。

 パネラーが幾つかの質問をされたが、野党連携に関し「新潟では野党共闘はうまくいっているが、共産党とは組めないことを言い続けている。自民党に勝つにはリベラルの結集は大事である」といった趣旨の発言があり、青木さんから「私以上の世代は(青木さんは56才)共産党アレルギーはあるが、私より下はそうない。だいたい政権獲得・維持のため自民党は公明党と組んでいる。連合は共闘の接着力になるべきだ。そもそもリベラルは政権を獲るという執念が欠けている。政権交代が起きないと水が淀んでしまい害悪と考える。市民をあきらめムードにしてはならない。政権側は絶えず反対者を分断する」といった見解が披瀝された。
 
 最近、老化のせいか、大平元首相の衣鉢を継いでいると言われる某党代表の自民党へのすり寄りに腹をたて、立憲民主党と国民民主党の結集についても、河清を俟つ感を強めていた。が、青木さんの見解をうかがいしばし堪えることにした。
 以前のこのコラムでも述べたが、連合結成の際の基本文書に「自民党に代わる新たな政治勢力の結集」が謳われ、初代の山岸会長(情報労連)や笹森会長(電力総連)、高木会長(UAゼンセン)らは、労働組合と政党の違いをふまえつつ、結集に努力されていた。
 賃上げにむけた政権の掛け声は立派なものの多くの中小では思うように進まず、さらに社会保障制度の劣化と、アベノミクスによる円安で物価は高騰し現役と年金生活者の懐は痛むばかりだ。その上、野党の弱体が要因で政治は緊張感を欠き、立法府の機能も脆弱化が進む。
 乾坤一擲、連合は「新たな政治勢力の結集」にむけ汗をかいて欲しい。