新潟県退職者連合 顧問
早川 武男

 政治とカネをめぐるいわゆる裏金問題で、自民党と安倍派を中心とした国会議員が厳しい批判をあびている。岸田政権の支持率も新聞、テレビの世論調査では軒並み下落し、毎日新聞では10%台(3月時点)だ。

 しかし、受け皿となるべき野党の支持率は、「どの政党を支持しますか」との問いでは一桁台と芳しくない。立憲民主党は6%、維新の会も4%ほどである。ただ、「仮に今、衆院選挙の投票をするとしたら比例区ではどの政党に投票したいと思いますか」との問いには、立憲民主党は16%に増える(朝日新聞)。野党には問題もあるが、「自民党にお灸をすえなくては」「政権交代も視野に入れなくては」といった国民の気持ちの表れであろう。
 
 2月下旬の朝日新聞に細川護熙元首相が、政治家のカネなどを監査するための最大の処方箋は政権交代。世の中を変えるために、政権交代に勝るものはない。そのため野党各党は「自民党の金権政治はダメという1本の旗を掲げ政権交代をめざせ」と訴えておられた。
 野党の結集については野田佳彦元首相も、「(自民党のやりたい放題の現況をふまえ)このままでは死んでも死にきれない」と必要性を言われ、小沢一郎さんも維新の会を含めた結集をさけばれている。
議論の多い共産党との関係について細川さんは、「細川政権の8党派の時は非自民・非共産だったが、今度は共産党だって一緒にやった方がいい。そのくらいまでを包含するような政治改革政権を目指すのがいいのではないか」と述べられ、野田さんと小沢さんも「閣外での連携」を主張されている。
 永田町界隈の細かな事情はよく分からないが、違うところは神棚にあげ具体的な歩みを進めて欲しい。幸か不幸か今は千載一遇のチャンス。もしこのような事態でもあれこれ理屈を並べ座しているなら、野党は国民に、否、支持者にも見放され政権交代の機会は永遠に訪れないと思う。
 
 私は「反自民・非共産」を政治スタンスとした労働組合の専従役員として禄を食んできたが、労組と政党は「唇歯輔車」(しんしほしゃ)の関係――利害関係が密接で互いに助け合わなければならない――と、今も理解している。けっして持ちつ持たれつの関係ではない。互いが切磋琢磨し、相手を尊重し理解しあうことである。
 各労働組合には歴史があり事情も違うが、勤労者が流した汗が報われる政治と政権づくりに、大所高所の観点から対応していただきたい。