新潟県退職者連合 会長
山田 太郎

先の総選挙で自民党は、高市総理の人気と高い支持率の中で真冬の奇襲作戦を仕掛けた。結果、SNSの爆発的な宣伝(拡散)を駆使したイメージ戦略により地滑り的な大勝利を手に入れた。
この選挙は2005年の郵政解散選挙と空気感が非常に似かよっていた。当時、小泉総理は、高い支持率を背景に、「郵政の民営化に賛成か、反対か」、シンプルなキャッチコピーで圧勝した。今回も「高市早苗でいいか、否か」、当時と同じように政策は二の次におき、明快なフレーズの人気投票で国民の“熱病”を醸し出した。
方や、直前に結成した中道改革連合は、合流のタイミングや政策内容など、時間のない中で有権者にとってネーミングも含め非常にわかりづらい政党に映った。とりわけ原発や安保、憲法など、与党と政策の違いを明確にしてきた根幹の課題(理念)で「容認」に傾き、より鮮明な対立軸を求めるリベラル層や現状打破を期待する若者・無党派層からの支持が離れた。
さて、選挙結果はともあれ問題はこれからである。高市政権が掲げる「国論を二分する大胆な政策」には、経済・安保・憲法などの分野で、日本社会の根底を揺るがしかねない懸念と不安が指摘されている。とりわけ安全保障(防衛関連)では、自衛隊の憲法9条への明記と防衛・安保政策の大転換が検討されている。
折しも、昨今の世界情勢は、ウクライナ、ガザ、イランなど、強国の力による一方的な現状変更により、国際法や対話だけでは侵略を止められない深刻な情勢となっている。こうした「力の支配」が強まる世界の中で日本がとるべき道の1つとして、「武力には武力(目には目・・)」、軍備を増強し対抗しなければ、国の安全は守れない、と捉えている国民が高市政権を支えていることは否めない。
一方、第二次世界大戦において、かつての日本も「自衛」や「生存権の確保」を理由に軍備を拡大し、結果として軍部が暴走し、国を焦土と化し、300万人以上の尊い命を失うという筆舌に尽くしがたい惨禍を経験した。その反省から「軍備の増強こそが緊張を高め、再び破滅を招く」と危惧することに根強い思いを馳せている人も多い。
戦後80年、日本が歩んできた道は、その痛切な反省から生まれた「不戦」の誓いが土台にある。高市政権が主張する「軍事力の強化」という現実的な方針は、戦後、一貫して日本がとってきた路線の転換ともいえるものである。いま、日本の果たすべき役割は、唯一の被爆国として、非核、平和主義の徹底と国連及び世界秩序を支える決意をもって、中立的な立場で仲裁を粘り強く働きかけ、平和の旗振り役としての機能を強めるべきではないか。








