新潟県退職者連合 幹事
今井 一夫
今年はじめから、新型コロナの感染拡大という未曽有の事態が発生しています。その困難の中、公共サービスを継続して提供すること、医療や保険、介護、清掃、交通などの現場で働く公務員、臨時・非正規職員など、コロナ禍でサービス提供を怠りなく、進めている人たちに、大きな感謝心を抱きます。
新型コロナとの共存が求められてきている中、労働運動も大きな転換点に差し掛かってきているようです。労働運動の原点回帰が重要です。
組合員がいかに心を通じあえるかが大切です。人の行き来が制限され、全国的なネットワークづくりが思うようにできない中では、組合員一人ひとりにとって最も身近な存在の組合が大切です。物理的にも精神的にも人と人との距離が離れているからこそ、仲間としての一体感を感じられる場としての労働組合の重要性がさらに増しています。
危機的な状況だからこそ、「つながりあい」や「支えあい」が必要です。
相手の立場で考え、想像力を働かせる!
公共施設や商業施設、駅などでは、多機能トイレをよく目にします。車椅子の人が使いやすいように広くスペースを取り、手すりがあります。人工肛門やぼうこうを設けた人のための専用の流しもあります。
幼い子のオムツを替える台も設置されています。子育て中に何回か利用したことがあります。バリアフリーを具体化した設備だが、多機能なゆえに課題が指摘されるようになっています。国土交通省の多機能トイレ利用実態調査(2012年調査)によると、車椅子を使う人の約94%が多機能トイレで待たされた経験があり、施設の不足を感じている人も約75%に上っています。
車椅子用のトイレが多機能になって、利用者が増えて使いにくくなり、ニーズにあったトイレの増要請もあります。
利用したことがない私も恥ずかしながら、言われてみれば・・・です。
障害者になってはじめてわかること、障害者にならないとわからないこと=相手の立場で考えること。想像力を働かせること。これらはとても大切です。ただ、そう心がけても十分に思い至らないこともあります。当事者の思いに触れ、きちんと受け止めることを常に頭においていかなければ・・・・。
自分の思う方向に?
マジックワードという言葉があります。魔法のように会話がスムーズになり、自分の思う方向に結論を導きやすくしようとする言い回しのようです。
特に役人の作る文書に多いと思います。厚生労働省が公表したパワハラ指針の素案に、パワハラに当たらない例として「経営上の理由で一時的に簡易な業務に就かせる」が挙げられています。これでは「経営上」「一時的」といったあいまいな理由を言い訳に、不当な降格や嫌がらせも可能になりそうです。労働者側から見ると、マジックワード表現です。
永田町界隈では、「責任を痛感している」「遺憾に思う」という言い回しをよく耳にします。これでは、どこに、だれがなど具体的な責任の所在が見えにくくしています。
このような紋切り型の表現は、私もよく使って来ました。
事実を正直に表現すること。他人の思いも考えながら表現すること。一歩下がって、一呼吸置いた後に自分の表現をできる人になりたいと思うこの頃です。
真の働き方改革!
コロナ禍のため自宅で働く人が増え、夫婦間、親子間の家庭内争議が物議をかますこの頃です。
先日とある喫茶店に、男女のカップルが楽しげに話をしていました。男の人がトイレに立つと、女性はスマートフォンを取り出し、なにやら操作し始め、男の人が戻ってくると、スマートフォンをしまい、話に戻りました。
通勤バスや列車内では、昔は新聞を読む風景が、今は下を向いてスマートフォンとのつながりが見受けられます。
スマートフォンを手放せない人が増えています。つながりを求めているのかな?仕事上の連絡をやっているのかな?自宅での仕事が増えると時間に関係なくスマートフォンがつながってきます。休みの日までつながるスマートフォン。
いつ休めるのかな?
バカンスの国フランスでは、一定規模以上の会社に対し、つながらない権利のあり方について労使で話し合うように義務付けています。真の働き方改革とは?緊急時の対応を含めた課題は残りますが、「つながらない権利」の行使は必要です。
つながらない権利を求めていきましょう!