2020年度(令和2年度)労働者福祉に関する要請書
貴職におかれましては、県民生活の安定と向上をはじめ県政課題の前進に向けて、日々ご奮闘されておりますことに敬意を表します。また、日頃、新潟県労働者福祉協議会(県労福協)の事業に特段のご理解とご支援を賜っておりますことに感謝申し上げます。
政府がSⅮGs(持続可能な開発目標)実施指針の優先課題のひとつとして掲げる「全ての人の人権が尊重される、誰ひとり取り残さない社会」の実現のために、県においても人権・労働基本権の補償、保険医療サービスへのアクセスの保障、教育の機会均等など多文化共生社会への転換をはかることが、今まで以上に求められています。
県労福協は、社会的な課題に対し、「すべての働く人の幸せと豊かさをめざして、連帯・協同でつくる安心・共生の福祉社会」の実現のため、行政をはじめ様々な団体と連携し、県民の暮らしをサポートする事業への取組を進めているところです。
つきましては、県政における課題山積とは存じますが、勤労者福祉の向上に向け、以下の要請項目についてご検討いただきますよう、ご要請申し上げます。
要 請 項 目
1.東日本大震災の被災者・避難者支援について
新潟県内への避難者数は、11月末で2,408人(前年比-194人)となっています。避難生活が長期化し、県内広域に及ぶ避難者のため、県として支援の充実を要請します。
2.格差・貧困社会の是正、セーフティーネットの強化について
県民が安心・安全に暮らせる社会づくりをめざすため、地域住民の生活実態に照らし、以下の取組を要請します。
(1)生活困窮者自立支援対策
①改正法に明記された基本理念に沿って、生活困窮者の尊厳の維持を図りつつ、手を差しのべる行動(アウトリーチ)や社会的孤立への対応も含め、新潟県としての施策を講じること。
②就労準備支援事業、家計相談支援事業について、新潟県内のすべての自治体で早期に完全実施できるよう必要な施策を講じること。
③新潟県として改正法に明記された役割(市等に対する研修事業や事業実施体制の支援、ネットワークづくり等)を発揮すること。
④生活困窮者自立支援事業は「人が人を支える」制度であることに鑑み、制度を担う相談員・支援員が一生の仕事として誇りをもって働けるよう雇用の安定と処遇の改善をはかるとともに、研修の充実などスキルの向上を支援するための必要な処置を講じること。
(2)子どもの貧困対策
子どもの貧困の解決が喫緊の課題の中で、県内においても様々な事情から一人で食事をとる子どもたちへ食事を提供する、子ども食堂(50カ所程度)が開設されています。
次年度も継続して子ども食堂をはじめとする子どもたちの居場所の提供を行う団体、施設への効果的な支援策を要請します。
また、今年度見直しがされた「子供の貧困対策に関する大綱」を踏まえ、県として貧困の実態を把握し具体的な貧困の目標を定め対応するよう要請します。
3.「奨学金問題」の改善について
2018年4月に給付型奨学金が本格実施され、2019年5月には「大学等における就学の支援に関する法律案」が成立したものの、現在返済に困難を抱えている方の支援は不十分です。
現在の、給付型奨学金の対象者は極めて限定的で、多くの人が貸与型(有利子)奨学金に頼らざるを得ない状況にあります。
県労福協は、中央労福協などと連携し、以下の内容を盛り込む各種の取組を進めています。つきましては、当事者の声を反映したよりよい制度へと改善するため、これまでの県独自の取組と併せ、県から国への働きかけを要請します。
(1)日本学生支援機構法改正にあたり国会で採択された附帯決議の内容を確実に実行し、教育の格差是正と教育費負担軽減につなげられたい。
(2)貸与型奨学金にあっては、有利子から無利子への流れを加速し、無利子奨
学金を大幅に拡充されたい。
(3)大学等の学費の引下げや授業料減免の拡充等の政策を実行されたい。
(4)新潟県が独自に実施している給付型奨学金の廃止は撤回し、増額ならびに給付条件を緩和されたい。
また、経済的事情によって意欲や能力のある子どもたちが進学をあきらめることのないよう、意思決定・運営に際しては、当事者および利用者などの意見を反映するとともに、情報公開を徹底されたい。
4.フードバンク活動の促進について
食品ロス削減の取組にも寄与し「もったいない」から「ありがとう」へが、フードバンクの取組の根幹であり精神です。
この間、県などの自治体、企業や個人からの寄贈食料品を、生活困窮者支援団体、子ども食堂などに供給しているフードバンク活動は、地道な活動の結果、寄贈食料品総量は3.8トン(2013年度)から30トン(2018年度)と大幅に増加しました。
一方で、その食料支援要請は年々増加していますが、社会的弱者への食料支援は十分とは言えない状況にあります。
「食品ロスの削減の推進に関する法律案」の施行に伴い、同法に盛り込まれた「フードバンク活動への支援」を早急に具体化し、フードバンクが継続的・安定的に発展できるよう、県として運営団体への助成を含めた支援策を具体的にお示しいただきたい。
5.若年層に対する金融知識(金融リテラシー)の教育体制の整備について
2022年に成人年齢が18歳に引き下げられ、自分名義のローン契約やクレジットカードが作れたり、売買契約が結べるため、多重債務やマルチ商法被害などのトラブルが想定されます。
県では既に、労働者の権利問題などの出前授業を実施していますが、更なる体制強化として、特に社会に出る前の高校生に対し、一定期間のカリキュラムを用意するなど、実のある習得機会を設定していただきたい。
以 上
県の回答については後日、回答があり次第掲載します。(3月頃になる見込)