新潟県退職者連合
会長 早川武男

 明けましておめでとうございます。会員の皆様のご多幸をお祈りしますとともに本年も変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。

 いま政府は、退職者・高齢者の生活に直結する社会保障制度の見直しを進めています。年金では厚生年金が適用されるパートらの範囲を広げるとともに給付の抑制を徹底する。医療では75才以上の窓口負担割合を2割に引き上げる。介護も利用者の2割負担と介護1・2の生活援助事業を介護保険から切り離すことなどが主要な柱で、1月下旬に予定されている通常国会がはじまりますと逐次法案として明らかになります。県内においては、診療実績と立地場所の2つの基準により機械的に選定された、公立・公的病院の再編・総合案も審議されます。

 政府は「高齢化が急速に進み社会保障費が年々増加しているが、財源は確保できておらず、子どもたちの世代に負担を先送りしている。このため消費税率の見直しが必要である」とし、2014年に5%を8%に、そして昨年10月、10%に引き上げました。

 多くの方々は、消費税率を上げたら社会保障制度は概ね現行水準は維持される、維持して欲しいと期待していました。退職者連合も高齢者が急増し現役世代の負担も限界にあることから、社会保障に使われることを前提に引上げを甘受しましたが、給付は削減され負担は増すばかりです。公立・公的病院の再編問題も、医療人材確保の側面も有していますが社会保障費の抑制が主な目的です。

 これまで安倍政権は、「消費税率の引き上げによる増収分は全て社会保障に充てられている」と説明していましたが、税に詳しい識者は、法人税等の減税や国土強靭化を錦の御旗にした公共事業にも使われていると指摘しています。

 一部の学者や評論家は――概してこの方々は高所得者――、高齢者に関わる社会保障費の切り込みを主張しますが、そもそも高齢者が増えることは何年も前から分かっていたにもかかわらず、政権が対策に手を拱いていたことには触れません。その上、安倍首相の肝いりで導入された幼児教育・保育の無償化は、高所得者までも対象になっていることや、「専守防衛」のタガが外れたように膨張を続ける防衛予算には口をつぐみます。

 それだけに野党の皆さんからは、税の使い方について、国会の場で糺していただきたいのです。「桜を見る会」の追及でも証明されたとおり、野党がワンチームになれば、答弁に窮し急いで国会を閉じたように大きな力となります。私たちも、しっかりと野党の取り組みを応援してまいりたいと思います。

 新たな2020年。お互い気合を入れて頑張りましょう。