社会保障の右肩下がりにストップを――年頭にあたっての私の想い――
新潟県退職者連合
会長 早 川 武 男
戦後、先進諸国で一番短かった日本の平均寿命は、皆年金・皆保険制度が導入されてから飛躍的に伸び、世界一と言われるまでになった。その後に施行された介護保険制度の役割も大きい。しかし、社会保障の根幹をなすこれら制度は充実されるどころか年々右肩下がりしている。介護保険は見直しのたびに負担は増えサービスは低下した。特養への入所基準を「介護3」からにするなど、介護の実態を無視した制度の見直しも行われた。医療もしかり、政府は真綿で首をしめるように負担を増やしている。生活保護費も例外ではない。給付の削減が続く。
政権サイドからは「高齢者が増え社会保障費が増大し国家財政を圧迫している。抑制はやむを得ない」といった声もあるが、国の膨大な借金は、高齢者が今ほど増える前から積み上がったもの。多くは景気浮揚を錦の御旗にした公共事業費だ。むしろ、少子高齢化は何年も前から分かっていたにも関わらず、社会保障の安定財源に重要な、消費税と所得税・法人税の適切な分担など抜本的対策に手を拱いてきた政治の不作為である。
そもそも、安倍総理が所属する自民党細田派(旧清和会・岸信介氏が源流)は、生活保護や子育て介護といった施策は自己責任との意識が強い。官邸の中心軸を担っている経産省出身者が、社会保障を非生産的政策と捉えていることも右肩下がりの背景にある。
日本退職者連合は社会保障の改善にむけ、関係省庁への要請行動を精力的に行っているが、根本的には政治の流れを変える以外にないと2018年総会で決定した。思いは同じ。県退職者連合も会員要望を県など行政に具申する営みは充実をめざすが、政治の流れを変える取り組みにも力を注ぎたい。
4月に統一地方選挙が、7月には参議院選挙が予定されている。参議院選挙の勝負どころは、各加入組織が各々の推薦候補者全員の当選をめざすことと、32ある1名の選挙区において、立憲民主党、国民民主党、社民党など野党が一つにまとまり自公に挑むことだ。参議院における自公の議席数は150。立憲、国民、社民、自由の総計は54議席。この差を縮め政治に緊張関係をつくらないと社会保障の右肩下がりはストップしない。
2019年はその端緒にしたい。