新潟県労働者福祉協議会の実態に迫る

一般社団法人 新潟県労働者福祉協議会
専務理事 間 英輔

 多くの皆さんが、新潟県労働者福祉協議会(以下、県労福協)は何者なのか、よく理解していないとの声を多く聞きましたので、新潟県退職者連合会のホームページに乱入して可能な限り詳細をご説明します。一問一答方式で記載します。少し舌足らずな表現もあろうかと思いますがご容赦願います。

【質問①】
 県労福協はどのような組織なのですか、上部組織はあるのですか。
【回答】
 県労福協は、新潟市中央区新光町6-2にある勤労福祉会館内の1階に事務室があります。会員は、①日本労働組合総連合会新潟県連合会、②新潟県労働金庫、③新潟県総合生活協同組合、④新潟県労働者信用基金協会、⑤新潟ろうきん福祉財団、⑥コープサービス、⑦新潟県退職者連合、⑧全港湾労働組合日本海地方新潟支部、⑨新潟県生活協同組合連合会、⑩日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会センター事業団北陸信越事業本部、⑪ささえあいコミュニティ生活協同組合新潟、⑫新潟NPO協会、以上、12会員の会費・分担金をもって運営しています。スタッフは、理事長・専務理事・事務局長2名、事務員の合計5名です。
 上部組織は、東京に中央労福協があります。中央労福協加盟団体は、労働団体として日本労働組合連合会のほか25組合と日本退職者連合、事業団体として全国労働金庫協会、全国労働者共済生活協同組合のほか11団体で構成しています。中央労福協の理事長は、連合会長の神津里季生氏です。
 なお、全国47都道府県に、県労福協と同様に各県労福協が組織されています。
 また、ブロック構成では、県労福協は東部ブロック(11都県で構成)に所属して活動の交流を行っています。

【質問②】
 県労福協はどのような活動をしていますか。
【回答】(詳細は、HP:「一般社団法人 新潟県労働者福祉協議会」で検索できます)
 県労福協の目的及び主な事業についてご説明します。
※「新潟県退職者連合のHPからも見られます」
(目的)
一般社団法人新潟県労働者福祉協議会は、新潟県内において勤労者福祉を増進するための事業を行い、勤労者の生活安定と経済的・社会的地位の向上に寄与することを目的としています。
県労福協の現在の大きなミッションは、
1.社会的運動と政策制度の実現
  反貧困・多重債務・消費者運動・環境・食の安全・防災など
2.勤労者の生活支援
  就労支援・未組織勤労者・退職者支援・相談事業など
3.労働者自主福祉事業の育成
  事業団体利用促進と支援・人材育成・セミナー・国際交流など

(具体的な活動)
(1)機関会議(中央・東部ブロックは除く)
  理事会(原則年間4回)及び定時総会(6月)、事業団体責任者会議など。
(2)文化・スポーツ活動など
  ① チャリティーゴルフ大会 (毎年5月頃に開催)
  ② 勤労者駅伝大会(毎年9月頃開催)
  ③ 新春労働団体・友誼団体名刺交換会
(毎年1月に開催、2018年は1月5日に360名で開催)
(3)国際交流活動
  中国:黒龍江省、韓国:ソウル、ロシア:ハバロフスクの労働組合と協定に基づく定期的な相互交流、2018年は新潟から代表団を各々派遣する予定。
(4)友好の旅
   2017年は9月23~26日にシンガポールで開催、参加者23名。
2018年はコース及び日程について現在検討中。
(5)調査・研究活動
   2017年度は、「医療」をテーマとして、「公益法人新潟県自治研究センタ―」に委託、報告書は2018年2月中旬に発行予定。
(6)県知事への政策要請
  2018年1月29日に実施、要請項目は、①東日本大震災の被災者・避難者支援②格差・貧困の是正、セーフテネットの強化、③「奨学金問題」の改善に向けて、④勤労者の雇用維持、離職対策、⑤フードバンク活動の促進、の6項目。
(7)暮らしのなんでも相談(ライフサポート事業)
  県内8か所(新潟、県央、長岡、柏崎、下越、佐渡、上越、見附)で、ライフサポートセンターを設置して、組織労働者だけではなく、勤労者が生涯にわたって充実した生活を送ることのできるよう、各種の支援活動を行う事業。
(8)生活困窮者自立支援事業(パーソナルサポート事業)
  2013年12月に生活困窮者自立支援法が制定され、2015年以降、新潟県の10町村、新潟市、長岡市、上越市から県労福協が委託を受けて事業を実施。
(9)寄り添い型相談支援事業「よりそいホットライン」
  東日本大震災の避難者・被災者を対象に電話相談としてスタート、2017年度から北陸地域センター(新潟・富山・石川・福井県のエリア)の相談者を対象として、一般社団法人・社会的包括サポートセンター(東京)から受託して長岡市を拠点に(新潟コールセンター)を置き相談事業を実施。
(10)三条市勤労青少年ホーム(ソレイユ)の指定管理者事業
  2014年度に三条市勤労青少年ホーム(ソレイユ三条)の指定管理者として三条市から施設管理・運営業務を受託し、この間、労福協のめざす地域に根ざした顔の見える活動として新たな講座や教室を手掛ける等、地元市民の拠り所として勤労者福祉に大きく貢献。
(11)新潟ろうきん福祉財団と連携した活動
  ワーク&ライフフォーラム・セミナーは、「福祉はひとつ」の理念のもとに誕生した労福協の2020年ビジョン「連帯・協同でつくる安心・共生の福祉社会」の周知・実践の場として取り組みを進めてきた。
その目的は、「労福協運動の理解を深める」、「福祉事業団体職員の理解を深める」、「NPO等市民活動団体や自治体との連携強化をはかる」こととした。具体的には、
① ワーク&ライフフォーラム・セミナー
② ライフプランセミナー
③ にいがた福祉リーダー塾・未来塾
   を、開催。
 (12)フードバンクにいがた(地域と連携した活動)
「県労福協」、「ささえあい生協新潟」、「ワーカーズコープ北陸信越事業本部」が呼びかけ生活困窮者支援事業の食料支援を契機に、2013年7月に「フードバンクにいがた」を立ち上げた、2018年1月4日にNPO法人(特定非営利活動法人フードバンクにいがた)を取得。
(13)新潟市勤労者福祉サービスセンター(以下、にいがたSC)
    中小企業に働く勤労者にとって唯一の福利厚生施設として、にいがたSCに事務局次長を派遣。
(14)その他
① 消費者ネットワーク新潟との連携(NPO法人化をめざし)
近年、増え続ける消費者被害や特殊詐欺など、さまざまな手口を使い消費者をトラブルに巻き込んでいる、こうした背景の中で、消費者への啓発活動、行政機関との連携・協働事業に取り組むため、2011年11月、「消費生活ネットワーク新潟」が設立。
② にいがた共同ネットとの連携
にいがた協同ネットとは、主に協同組合や市民活動団体等で活動する個人や組織が穏やかにつながり合い、よりよく生き、働き、暮らすことができる、住民主体の持続可能な地域づくりを目指すネットワーク。
今後は、共助・共生社会の担い手として期待される社会的企業の促進・自立・発展をめざすネットワークを構築し、これらのつながりを軸として、新潟における持続可能なまちづくりと誰もがともに生きる地域づくりをめざしている。

【質問③】
生活困窮者自立支援制度について具体的にどのような対応をしているのですか
【回答】
①生活困窮者自立支援事業が制度化され3年目を迎えます。この間、制度上の課題も浮き彫りとなりモデル時代からの検証も含め3年ごとの見直し議論がスタートしています。見直しの論点は、支援の出口としての就労のあり方、心身の不調、家計の問題、家族問題など、制度の狭間に陥らないよう広く受け止められること等があげられます。また、相談者の状況に応じた対応ができること、真に困窮している人ほどSOSを発することが難しく、待ちの姿勢ではなく早期に困窮者を把握し、課題がより深刻になる前に問題の解決をはかる必要があります。
②このように、新しい生活困窮者の支援のかたちは、包括的、個別的、早期の把握と本人の段階に合わせて切れ目なく継続的に支援を提供することです。併せて、この事業を通じて地域づくりを進めることも目的のひとつとしてあります。生活困窮者の早期把握と支え合う地域ネットワークを構築する主役は地域社会であり、国と自治体の責任の下、官と民、民と民が協働し、地域の支援体制を創造することにより実効ある制度をめざしています。
③現在、県(10町村)および新潟・長岡・上越の3市から本事業の委託を受けており、2017年度も継続して事業を推進しています。

【質問④】
県労福協の当面の課題は、どのようなものがありますか。
【回答】
労働者福祉に関わる事業を展開していますが、率直に申し上げて、県労福協の認知度は大変低いと感じています。
まずは、連合加盟の組合員の皆さんにどのように周知するか、そのためには何をどのように伝えるのか。ホームページを見てください的な周知ではなく、「ライフサポート事業」及び「生活困窮者自立支援事業」の現状や「フードバンクにいがた」が取り組んでいる、「もったいない」から「ありがとう」につながる活動をいろいろな方法で周知するのかが問われています。
各種取組を、事前にお知らせして、時として退職者連合のホームページに掲載いただくなど今後は露出度を高めたいと考えています。

【質問⑤】
退職者連合に加盟する構成員の皆さんに求めるものは。どのようなものがありますか。
【回答】
県労福協及び各地区労福協(下越地区・新潟地区・佐渡地区・県央地区・長岡地区・小千谷地区・十日町地区・柏崎地区・糸魚川地区・上越地区)が、取組む諸活動に積極的にかかわっていただきたい。
とりわけ、連合新潟・労働金庫・総合生協と連携しているライフサポート事業の相談員など、退職者の皆さんが現役時代の経験を発揮していただく中で、積極的に地域における活動家として労働者福祉事業の推進に何らかの形でかかわっていただくことを切望します。
また、各地域のNPO法人などの活動に積極的に何らかの形でかかわっていただければ幸いです。

以上