野党は相手の土俵に乗るべし

山﨑 泰一(上越地域退職者連合 事務局長) 

 各種世論調査では、安倍内閣の支持率は、4割強と比較的高いが、支持する一番の理由は、「ほかの内閣よりよさそう」であると紹介されている。この結果に呼応するように、安倍首相は、野党の批判には直接答えず、「民主党政権の時代よりも……」を常用、多用している。

 安倍首相の自慢話の一つに、「有効求人倍率」がある。雇用は国民にとって重要課題であるから、求人が多いことは、大変結構なことである。しかし、重要なのは、求人・求職が雇用に結びついているかである。求人側は、人材確保できなければ、処遇条件を高めるであろう。しかし、求職者のスキルに課題があるとすれば、それを解決するのは、政治の課題である。失業者が吸収されていく過程での「有効求人倍率」には意義があるが、枯渇した人材の奪い合いの中での「有効求人倍率」は、自慢の種にはならないのではないか。

 実質賃金が上昇しているのか下降しているのか、勤労統計の信頼性が揺らいでいることから、分からない。もともと、個々の国民には、実質沈金が上昇した者も下降した者も存在する。安倍首相は、「総雇用者所得」なるものを持ち出している。後出しジャンケンのような指標はいかがなものか。この指標にいかなる意義があるのであろうか。

 国の財政が厳しい折から個人所得課税額の増減や社会保障の持続性が懸念される折から社会保険料収入の増減を指標にするのはどうであろうか。毎年、決算で確認することができる。ファクトを巡る与野党の対立は収まるのではないか。また、役人が集計した決算数値の信頼性が議論になるのであろうか。